乳がん検診

乳がん検診を受けましょう

乳がん検診を受けましょう

乳がんは女性が罹患するがんの中で最も多く、日本人女性が生涯を通じて乳がんになる割合は14人に1人とされています。
ライフスタイルの欧米化とともに増え続けており、発症する年齢で最も多いのは40歳台後半ですから、高齢化とは関係なく増加していることがわかります。40代の女性は社会的にも家庭的にも大きな責任や役割を果たしている年代ですので、乳がんを早期発見して適切に治療するのはとても重要なことです。
乳がんは現在、早期発見して適切な治療を受ければ完治が望め、命を落とすことが少ないがんです。早期発見のためには、毎月行うセルフチェックと、年に1回の画像診断を用いた乳がん検診が有効です。
セルフチェックは、月経終了後のタイミングで毎月行ってください。閉経後の場合には、ご自分で覚えやすい日を決めておいて、その日に必ず行うようにしてください。

乳がん検診の基本的な診断手順

問診の後、その状態に応じてマンモグラフィあるいは超音波検査が行われます。また、組み合わせて行う場合もあります。以上の検査で乳がんが疑わしい場合は細胞診や組織診(生検)を行います。組織診は、細胞診よりさらに確実な検査で、これにより最終的な診断がくだります。

手順

視診・触診

乳房の腫瘤(しこり)の存在、乳頭からの異常分泌、乳頭や皮膚の変化等の有無を調べます。また、えきか(脇の下)や頚部のリンパ節の腫れに異常がないかも調べます。

マンモグラフィ

マンモグラフィは乳房専門のX線撮影です。 乳房は柔らかい組織なので一般のX線検査では、 乳がんを発見することはできません。通常の検査では、立体的に乳房全体がフィルムにおさまるよう、上下からはさむことと、左右からはさむことの2方向から撮影します。マンモグラフィによって、触ってもわかりにくい1cm以下の小さなしこりや乳がんの初期症状の1つである石灰化を写し出すことができ、乳がんの早期発見の力強い武器になっています。この検査によるX線の被ばくはほとんど影響ありません。
当院では日本乳がん検診精度管理中央機構の推奨する高精度のマンモグラフィ機器を備えており、撮影は日本乳がん検診精度管理中央機構による撮影技術講習会を修了した女性の認定放射線技師が行っています。
フィルムの読影は、日本乳がん検診精度管理中央機構による読影認定医師の資格を有する、院長が行います。

超音波

乳房にゼリーをつけて超音波を発し、その反射を検知して画面に映し出す装置で、マンモグラフィでわからない所見もこれでかなり明確になる場合もあり、マンモグラフィとともに乳がん検診、精密検査では欠かせない大事な検査法です。また、この検査は超音波なので人体には全く無害です。

細胞診検査

病変部分の細胞を採取して組織を調べる検査です。エコーの画像を確認しながら乳房内の腫瘍性病変に細い針を刺入し、陰圧をかけて細胞を吸引採取します。採取した細胞は顕微鏡で確認して、良性・悪性を判断します。病変の質などにより、この方法では十分な量の細胞を採取できない場合がありますので、その際には組織学的検査を行う場合があります。

組織学的検査(乳房針生検)

細胞診よりも太い針を使って腫瘍の一部を採取する検査方法です。局所麻酔を行った上で、乳房内の腫瘍性病変の一部を採取します。検体の量が多いため、良性・悪性の判断に加え、病変の性質やより具体的な診断が可能になります。

当院の実績

期間:2006年10月~2023年12月
マンモグラフィ件数:47,561件

年別のマンモグラフィ件数(計47561件)

期間:2006年10月~2023年12月
エコー件数:55,595件

年別の乳腺エコー件数(計55595件)

  • マンモグラフィとエコーは同時施行することが多く、その結果でさらに精密検査を必要とした場合に、細胞診あるいは組織生検(針生検)を行います。
    細胞診・組織生検は、当院で行います。

発見乳がん(2006年10月〜2023年12月)

  • 798名(805病変)
    7名は2ヶ所にがん病変が発見されました。
  • 腫瘤非触知(症状なし):299名(37%)
  • 腫瘤触知などの症状あり:499名(63%)

当院における年間発見乳がん症例数(2006年~2023年)

当院における年間発見乳がん症例数(2006~2023年)

最近7年間の発見乳がん患者様の主な紹介先

  • 千葉県がんセンター  165名
  • がん研有明病院    79名
  • 千葉市立海浜病院   37名
  • 千葉大学病院     27名
  • 国立千葉医療センター 27名

(紹介状は、患者様のご希望の紹介先でお作りします。)

千葉県がんセンター・がん研究会有明病院・千葉市立海浜病院とは、乳癌治療に関して医療連携を行っております。ご紹介先での手術・化学療法・放射線療法等が終了後、患者様のご希望によって、当院にてホルモン療法を含めた術後経過観察を行っていきます。

当院で発見された乳がん798名の検討

2006年10月の開院から2023年12月までに、当院で発見された乳がん798名について、若干の検討を行ないました。女性の皆さんが乳がん検診に受診する際の参考になるかと思いますので、目を通してみて下さい。

年代別

当院で発見された乳がん732名の年代別人数(2006~2023年)

40代から60代まで、他の消化器がんや肺がんなどに比べて、比較的若い世代に乳がんの発症が多いのが分かります。さらに、30代で発見された方が74名もおられ、こういった若くしてなるがんで多いのは、乳がんと子宮頸がんの2つに限定されると思います。一方で、70代以上の方にも乳がんは多数発見されていますので、70代以上の方も油断しないようにして下さい。

当院での乳がん発見者532名の受診動機

乳がん発見者のうちの受診動機は、やはり2/3の方が何らかの症状を訴えて、受診されています。その症状で最も多いのが、「しこりを触れる、またはしこりのように硬く感じる」というものです。触診による自己検診が大事なことが分かります。しこりを触れた時には、なるべく早く乳腺外来に受診して下さい。一方、乳房が痛むという場合には、乳がんが原因であることはあまりないため、心配しすぎないようにして下さい。その場合、1年以上乳がん検診を受けていない場合には、一度検診を受けるようにして下さい。その他の1/3にあたる125名は、まったく症状がなくしこりも触れずに受診された方々です。マンモグラフィやエコーによる画像診断でのみ診断が可能であった症例であります。症状がなくても、検診を定期的に受診することの重要さがお分かりいただけると思います。

発見乳がんの画像診断(マンモグラフィとエコー)による描出率(2006年~2017年)

マンモグラフィで抽出されたか?

マンモグラフィで抽出

エコーで抽出されたか?

エコーで抽出

マンモグラフィもエコーもそれぞれ、乳がんの所見を88~97%くらいの割合で描出できていて、それぞれ乳がん発見の大きな診断手段となっています。しかし一方で、10%前後の確立で、マンモグラフィ単独およびエコー単独の乳がん検診では乳がんが発見されない場合があることになります。全国どこの医療機関でも、マンモグラフィあるいはエコー単独の検診の乳がん見逃し症例があることが指摘されています。こういう症例を極力なくすために、当院ではマンモグラフィとエコーの併用による乳がん検診をおすすめしています。乳がん検診を受ける場合には、マンモグラフィとエコーを併用した検査をできる限り受けてください。 ただし、マンモグラフィについては、以下に該当する場合は、通常は行いません。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 乳腺炎・乳腺症などで、乳房の圧痛が強い方
  • 豊胸術を行なった一部の方
  • 胸部にペースメーカー等の医療機器や異物が入っている方

以上、当院で発見された乳がん532名について検討しました一部を掲載しました。皆様が、乳がんについて、少しでも理解を深めていただけましたら幸いであります。

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